2008-04-23

PowerBook のバッテリー

徐々に悪くなっては来ていたのだが、ある頃急激にバッテリーが持たなくなってきた。システム終了前に満充電していたはずなのに次回起動時コンセントに繋がないと電源ボタンを押してもウンともスンとも謂わない。システムプロフィールを見ると完全充電時の容量が、124mAh、なんて数値になっていた。バッテリー新調の予感に落ち込みながら改めてシステム終了しバッテリーを挿し直してみるも効果無し。どうせ新調せねばならぬのなら、と荒っぽい手段に出た。コンセントからプラグを抜きバッテリーの容量不足で自動的にスリープになるまで放置、その状態でバッテリーを挿し直す。そしてコンセントにプラグを差しスリープ解除をしてシステムプロフィールを見ると、完全充電時の容量が65426mAh。PowerBook の箱に記載のバッテリー容量は4400mAh。約15倍に増えている。メニューバーの充電完了までの時間が300時間を超えている。充電状況が1%から一向に進まないのを不安に眺めながらウェブブラウズ等をしていると、2時間ほどで突然充電完了。その後、容量が65426mAhである事以外は問題なく動いています、取り敢えずは。

chips amp

ポテトチップの空き筒を使って386アンプを作成した。回路は一号機と一緒。空き筒の天地を逆にし、本来の底面にスピーカが余裕を持って通る穴を空け、プラ版をスピーカの縁が引っかかる程度にくり貫いて両面テープを貼り筒の内外から挟んで固定。ジャック用穴は、中心を決めた後ナイフで放射状に切り目を入れて空けた。瞬間接着剤をしみ込ませたらリーマーが効くのかな。

底面、本来の上面、のふたを開けると基板と電池が納まっている。基板と電池の間に少し余裕が在り、ここに何か詰めると電池を押さえられそうだ、と言う事でプラ板で電池囲いを作成、蓋の内側に両面テープで固定した。
試しに、と他の空き筒をくり貫いて重ねてみた。やや音がこもるけれど大きく聴こえて好し。ペダルを踏んで蓋を開けるゴミ箱方式で原始的ワウとか、走馬灯風ロータリースピーカとか、気が向いたら工作しよう。

2008-04-18

Honey Fuzz

発端

部屋の片付け中に自作ギターエフェクタがゴロゴロ出てきた。1993年に発売されたムック、ハンドメイド・プロジェクト ver.2 (大塚明•著 / リットーミュージック刊、現在絶賛絶版中) を見ながら作った物共だ。件のムックに一部間違い有り、と言う情報を以前ネット徘徊中目にしており、私も製作した Honey Fuzz が該当していたので作り直す事にした。

間違いはプリントパターンに在る。108頁の図4パーツレイアウト左下部分、Q4とQ5の左にアースに落ちている二本の22K抵抗が在り、その左の方と上の100Kを接続している箇所が直ぐ左の10μFの電解コンデンサのマイナス側、つまりQ5のペースに繋がらなければならない。
因みに、Q4・Q5の後ろでダイオードクリッピングした後の10μFが回路図ではダイオード側がプラスになっているが、これは逆でパーツレイアウト図が正しい、と思う。

計画

とりあえず昔作った基板に細工をしてみたがその違いが判らなかったので一から作り直す事に決定。その際プリントパターンの間違い修正の他に、
・以前はプリントパターンのコピーを貼ったタミヤのプラ板を基板にしていたがユニバーサル基板で作る
・基板は出来るだけ小さくする
・シンメトリな部分の部品の値は出来る限り揃える
以上を目標とした。

準備

シンメトリ〜については、コンデンサの値測定可能なテスタを持っていないので抵抗値とトランジスタと言う事になる。揃える部分は、
・CE分割で正相/逆相を作るQ3のコレクタ - 電源プラス間とエミッタ - アース間の10KΩ
・Q3コレクタ - Q4ベースとQ3エミッタ - Q5ベースの470Ω
・Q4ベースとQ5ベースをそれぞれバイアスする100KΩ/22KΩ
・差動アンプを構成するトランジスタQ4とQ5
念の為に記しておくと、同じ値の抵抗でも (抵抗の種類によって1%とか5%等の) 誤差が、そしてトランジスタは同じグレードでも特性にばらつきが在るそうなので、その部分まで測定して選別するという事。

抵抗値は単純にテスタで測るが、トランジスタの測定は geofex.com という海外サイトのコンテンツ The Technology of the Fuzz Face に在る「Picking transistors for FF Clones」セクションを、エキサイト翻訳の助けを借りながら参考にした。電気回路音痴な私はこの「Picking transistors for FF Clones」に書かれている事が正しいのかどうかも判らないのだが、少なくとも意味が無くはないのだろうとオカルト的マジナイ的に判断。測定回路は、基板に8pin IC 用のソケットを二つ並べそれぞれ外側の4pin を縦に繋ぎ、内側のpinは隣のソケットの向き合うpinと横に繋ぐ。電池スナップや抵抗、スイッチ、トランジスタは全てハンダ付けせずソケットに挿すようにする。これでPNP と NPN での電源の向きの違いや、トランジスタの足の配置の違いでの抵抗等の付け替えに対応。コレクタ抵抗に流れる電流値の測定なのだが、10個購入したトランジスタを全て複数回測定し1μA違いの二つをペアにした。

オリジナルのマシンでは6個のトランジスタの内Q1からQ5まで 2SC828 が使われているようだが、前回も今回も私が部品を購入した店には在庫が無かったので代わりに 2SC1815 を使っている。Q6は 2SC458 を使用。その他電解以外ののコンデンサは積層セラミック、抵抗は1/4W5%カーボン、ダイオードは1N60、フットスイッチにフジソク8Y-2011、ケースはタカチTD9-12-4N。入力のステレオジャックと出力モノラルジャック、トーン切り替えスイッチ、ボリュームポット2個とツマミは以前の物を流用。文字はマスキングテープにゼブラハイマッキーで。最近インスタントレタリングって見かけないなぁ電気部品屋にならあるかなぁ、と思いつつ部品集めに熱中して探すのを忘れていた。

感想

後はとにかくハンダ付けまくり、ケースに穴空けまくり、組み込みまくり、出来上がりまくり。これが本来の音なのかと感心しまくり。

1993年当時に製作した際はこれがアッパーオクターブを出すファズだとは知らず又プリントパターンの間違いも知らず、ああファズなんだなぁ、と済ませていた。12フレット以上のプレーン弦でサスティンの消え際にフィードバックでもしたかの様に1オクターブ上の音が聞こえてくる事が在ったのだが、偶々なのだろうと思っていた。
今回改めて製作した物は、プレーン弦の方が出易い或は12フレット以上の方が効果がはっきりすると言った傾向は在るが、指板のほぼ全域に亘って1オクターブ上の音も聞こえてくる。全くの別物になった。ハムバッキングではローポジションで効果が薄いようだが、シングルコイルのフロントピックアップでトーンを絞りきると効果がよりはっきりして気持ち良い。以前作った物に修正を加えた場合にはこの効果は全く現れなかったのだが、今回の部品の選定、特にトランジスタが効いたのではないだろうかと妄想している。妄想する前に実験用基板でも作って検証しろよ、と言う気もするが。

妄想

Honey Fuzz の本名は Honey Baby Crying と言い、同じく日本の ACE TONE 製 FUZZ MASTER FM-2 とほぼ同じ回路だそうな。ギターマガジン1995年2月号の特集「ALL THAT FUZZ!」内の角屋直彦氏の文章に拠ると、Baby Crying は米国や英国へOEM製品として輸出され、米国ではユニコード、ギルド、セントルイス・ミュージックと言った会社へ、特にユニコードの Univox SUPER-FUZZ が有名、英国ではローズ・モーリスが SHAFTESBURY DUOFUZZ と言う名前で販売していたとの事。

アッパーオクターブは電源回路でお馴染み (?) の全波整流によって作り出しているそうだ。Plate to Plate と言う海外サイトの A study on octave up effects に拠ると、全波整流器或は二乗器 (乗算器?) を使っている物も在るようだが、どちらも入力される信号がシンプルなサイン波であればオクターブ上の信号だけが出てくるがギター信号の様にサイン波と比べて複雑な波形では基の周波数も残ってしまうらしい。そして信号を歪ませないと、基の音の倍音成分が強調された様にしか聴こえないようだ。オクターブ系ファズは、純粋にオクターブ上だけを出すつもりがこうなったのか、それともギターの信号ならこうなるのが判っていた上でのこの設計なのか、どちらにしろ結果面白ければ全て良しか。

前述の様に Honey や ACE TONE ではCE分割で作った正相/逆相信号を差動アンプで受けて全波整流しているが、海外の Roger Mayer Octavia や Tycobrahe Octavio は正相/逆相双方の信号ラインに直列にダイオードを入れその後でミックスしている。Honey Baby Crying の回路図はバンパーさん記事中に、Roger Mayer や Tycobrahe は Effects Heaven に回路図在り。ギターマガジン1995年2月号の特集には Roger Mayer 氏へのインタビューが在りその中で氏は、Octavia の設計時には日本製ファズの存在は知らなかった、と先ず述べた後、Tycobrahe はデザインを盗んだのであって私とは関係ない、と言った意味の事を述べている。日本エレクトロ・ハーモニックス株式会社Roger Mayer Octavia 頁に更に詳しい事が書かれていた。ジミ・ヘンドリクスの為に改良を続けていた途中のある時点での Octavia のコピーが Tycobrahe の製品らしい。って Honey Fuzz と関係ない。

このエフェクタを使ってハイポジションを鳴らしていると、オルガンの音の様に感じる事がある。Octavia と Uni-Vibe を組み合わせていたジミ・ヘンドリクスは、オルガンの音、オルガン風ではなくそのものをギターで出したかったのでは、と言うのは行き過ぎた妄想か。

トーン回路なのだが、片側は単に分圧で電圧を約1/5に変えている模様。もう片方はハイパスとローパスのフィルタを組み合わせて中域の抜けたいわゆるドンシャリサウンドを生み出している。何故エフェクタでドンシャリにせねばならなかったのか、という事に言及している資料を探せなかったのだが、当時のアンプ事情が原因ではなかろうか、例えば場所によってはギターアンプを用意出来ずフラットな特性の他の機器に繋がねばならぬ場合がありそれに備えた機能では、と言うのが私の妄想。で調べていた所、ジャズ系のアンプは違うようだがほとんどのギターアンプのトーン回路はフェンダーアンプの回路をベースにしており、フェンダーは1950年代にこの回路の特許取得、一部を除き多くのアンプメーカーは抵触しない様この特許が切れるまでオーディオ的なトーン回路を用いていた様なのだ。私はギターアンプが使えないと妄想したのだが、そもそも当時のギターアンプがそういう状況だったと言う事で、フェンダーアンプっぽい、或はフェンダー的トーン回路をしらばっくれて採用していたアンプっぽい音を出そうと言う回路に違いないと増々妄想を強くするのであった。