但し、長年掲載誌を渡り歩いた所為もあるのか、複数の章で同じ説明をしていたり、逸勢の鳳鳴と言う僧への「存外に良い漢であるかもしれぬ」評が二度ありオヤッと思ったり、劉雲樵の妻•春琴の消息は、胡玉楼の妓生•牡丹がいつの間にかフェイドアウトしてるぞ、といった辺りが気になった。そして、登場人物みんなの事をもっとたっぷり読みてぇ、という気分になるのが大問題かもしれない。
読後、陳舜臣著「曼陀羅の人 空海求法伝」を無性に読みたくなり本棚から引きずり出す。やっぱり面白い。あれ? 上巻で空海に「送声の術」というのを使った女性、中巻で尚珠だと明かされたのに下巻では尚玉になってる事に今更気付いた。